統計

 

小規模事業者の方、中小企業の方の「事業を継続・継承する」ことを念頭に、ご参考として掲載しています。

 

後述の資料は中小企業庁のホワイトペーパーから抜粋したものです。

出典:「2022年版 中小企業白書の概要」(中小企業庁)       
  https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2022/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf

 

 

1.中小企業・小規模事業者の休廃業の実態

倒産件数や休廃業・解散件数は資金繰り支援などの各種支援策の奏功もあり、いずれも前年の件数を下回る結果になっています。


一方で、資金繰りの回復のテンポが弱まっており、借入金の返済余力が低下している業種もある中で、今後の倒産件数や休廃業・解散件数の動向に留意する必要があります。

 

 

2.開業率・廃業率の推移

我が国の開業率は、1998 年度をピークとして低下傾向に転じた後、2000 年代を通じて緩やかな上昇傾向で推移してきましたが、2018 年度に再び低下傾向に転じました。

 

足元では再び5%台に回復しています。

 

廃業率は、1996 年度以降増加傾向で推移していましたが、2010 年度からは低下傾向で推移しています。

 

 

3.業種別の開廃業率

「宿泊業、飲食サービス業」が最も高く、「生活関連サービス業、娯楽業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」と続いています。

 

また、廃業率について見ると、「宿泊業、飲食サービス業」が最も高く、「生活関連サービス業、娯楽業」、「金融業、保険業」と続いています。

 

開業率と廃業率が共に高く、事業所の入れ替わりが盛んな業種は、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」であることが分かります。

 

 

 

4.業種別に見た、受注量及び受注単価の変化

最も多く取引している販売先との取引において、業種別に、2021年の受注量及び受注単価の変化について見たものです。

 

業種に関わらず、4割程度の企業で、2020年と比べると受注量が減少していることが分かります。

 

一方で、製造業では4割程度、サービス業やその他業では3割程度の企業で、受注量が増加しており、一部の企業では、感染症流行による影響から回復している様子も見て取れます。

 

また、受注単価については、業種に関わらず、減少しているのは2割程度となっており、多くの企業では横ばいか増加傾向となっています。

 

 

 

5.業種別に見た、感染症下での販売先数増加の要因

業種別に、感染症下で販売先数を増加させた企業の増加要因について見たものです。

 

これを見ると、いずれの業種においても、多くの企業が「既存事業で域内(従来の商圏内)の販路を拡大」と回答していることが分かります。

 

また、製造業では、「既存事業で域外の販路を拡大」や「新規事業に進出し、販路を拡大」の割合が相対的に高いことが分かります。

 

 

 

6.感染症下での販売先数の変化の状況別に見た、取引先との接触頻度

感染症下での販売先数の変化の状況別に、取引先との接触頻度について見たものです。

 

これを見ると、販売先数を増加させている企業では、接触頻度も増加させている割合が相対的に高く、販売先数を減少させている企業では、接触頻度も減少している割合が高いことが分かります。

 

リモート商談など、コミュニケーション方法が多様化する中で、適切な接触頻度を維持する姿勢が重要といえます。

 

 

 

7.企業間取引におけるデジタル化に対応したことによる効果

企業間取引におけるデジタル化に対応したことによる効果について見たものです。

 

リモート商談においては、感染症対策として対応した企業が多いものの、「出張コストを減らすことができた」や「遠方の取引先との交渉が可能になった」といったコスト削減などの効果を実感する企業が多いことが分かります。

 

電子受発注においては、「生産性が向上した」や「業務の定型化・マニュアル化が可能になった」といった業務効率化に関する効果が上位となっています。

 

 

 

8.デジタル化の取組段階

デジタル化の取組状況を四つの段階に分けて、調査対象企業の取組段階を確認したものです。

①紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態(段階1)

②アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態(段階2)

③デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態(段階3)

                                ④デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態

 

 

8.1.従業員規模別に見た、感染症流行前と現在におけるデジタル化の取組状況

感染症流行前は、いずれの従業員規模においても、段階4の企業は1割に満たず、段階3を含めても3~4割程度であったことが分かります。

 

その後、感染症流行下で従業員規模の大きい企業がデジタル化の取組を進めた傾向にあり、現在は100人を超える企業の約8割が段階3~4に到達しています。

 

他方で、5~20 人以下の企業は段階1~2の企業が約5割となっています。

 

 

 

8.2.デジタル化の取組状況別に見た、デジタル化に取り組む際の課題

「費用対効果が分からない・測りにくい」を挙げる割合が最も高く、約4~5割の企業が課題としています。

 

通常の設備投資と異なり、IT 投資の場合には定量的な評価が困難なケースが多いことから、適切な費用対効果の測定に悩んでいる様子がうかがえます。

 

段階1の企業は、「デジタル化を推進できる人材がいない」を挙げる割合が最も高いことが見て取れます。

 

他方で、段階2~4を比較すると、推進する人材の不足を挙げる割合は上位段階ほど低くなっており、段階4は3割を下回っています。

 

段階が進んでいる企業は、既存社員を配置転換しIT人材として育成することやデジタル化の取組において中心的な役割を担う人材を新規採用で確保していることが考えられます。